越後生紙振興会とは・・・

越後の紙屋は、原料の楮(こうぞ)を育てる…雪の季節に紙を漉く…春の陽で紙を干す…。
実は100年余り前まで当たり前だった。
今、紙を育てる紙屋は、現在全国200戸余りの中でも1割にも満たない中で、越後では奇跡的に現代に繋いでいるのです。
現在、正道ともいうべき紙作りは、便利な紙に取って代わり、本物を見分けることも使いこなせる人もわずかになり、このままではやがて消え去るでありましょう。
本物(自然)を残すことは、本物を使える人を増やすしかなく、それは本物を知る人を増やすことに他ならないのです。

越後の紙屋が伝統の紙を継ぐ意味は、いつの時代も人が自然と会話しながら生きる姿勢を守り繋ぐことにあるのかも知れません。
洋紙100年、和紙1000年といわれるように楮の靭皮繊維を使うことで、抜群の耐久性、強靭性そしてやわらかな光沢など、美しい紙は世界においても高い評価を得ているのです。
和紙(生紙)は、日本の誇れる財産です。
越後の紙屋全員がこうした真面目な正道の紙を今日も守り伝えているのです。
精魂を込めて漉き上げた生紙・・・それは漉く人の心があらわれています。

現在、日本の和紙界はどこも疲弊しきっており、このままでは10年後に何割の紙屋が残るのかという現況であります。
国や行政でも後継者を残すべく手立ては講じているのですが、それらの後継者がここ10年自立できていないのが現状です。残念ながら和紙界にあっては「後継者問題はない」のです。
必要としていないということを意味しております。

ましてや国産原料の楮は、白皮で30tを切り、ほとんどが外国からの輸入です。
驚くべくその内新潟県内で8tほどが使用されているのです。
原料からして本物の紙は末期現象が迫っているといえましょう。

そうした中で幸か不幸か45年に1度の国体が我が新潟県にやってきた。
そして、その時に巡り合った紙屋はどう取り組めばよいのか?国体が巡ってきたことは私どもにとって天命とも言えるのではないか、こうした時代だからこそ紙屋の「意気」「意地」を試されているようでもある。国体は通常の「こなし事業」ではいけない、真の越後人の「もてなしの心」を発揮しろと背中を押されている気分でもあります。我々、越後の紙屋の一分として 物作りにおけるこだわりを守り繋ぎ、お互いが共有する「想い」を「形」にしようと 、越後の紙屋たちは「越後生紙振興会」をつくりました。

越後の生紙は、新潟県の自然、風土、文化が生み出した本物の和紙(生紙)であり誇れる財産です。
現在、門出和紙小国和紙伊沢和紙雪布和紙紙工房泉ヨシあし和紙の会
小出和紙の7工房が会員になっております。

東堀の紙屋では、新潟の和紙=生紙を多くの方々に知っていただきたく、
店頭に展示販売をしているほか、普及活動に協力しています。

 

 

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